『秒速5センチメートル』感想 人と人との距離がリアルに表現された映画

前回、『言の葉の庭』を観たので、『秒速5センチメートル』も鑑賞。

新海誠監督の作品の中で、『君の名は。』と『秒速5センチメートル』が比較されている記事を何度か見かけましたが、「確かに…」と納得せざるを得ませんでした。

以下、ネタバレあります!

『秒速5センチメートル』と『君の名は。』まだ見ていない方は注意!!







『君の名は。』と『秒速5センチメートル』の違い

『君の名は。』はハッピーエンドで、『秒速5センチメートル』は鬱エンドだ、と言われているのは事前に知っていたんです。
(そもそも、Google検索したら、予測に「秒速5センチメートル 鬱」と出てきます。そんなに!?)

この2作品の何が違うかというと。

想いあった二人は結局、会えるのか、会えないのか。その違い。

私の場合は、『君の名は。』→『秒速5センチメートル』の順番で観たので、『秒速』の方を観ている間、「ああ…これ、『君の名は。』の会えないバージョンだ…!」と、序盤から何ともいえない気持ちになりました。

「こんなに仲いいけど…何なら運命感じちゃってるくらいだと思うけど……でもきっと、会えないんでしょう?」
と、結末を予想できている状態で観ると、なかなかヘビー。

『秒速5センチメートル』に関しては、過去を引きずりながらも、ラストで貴樹が前を向いて歩いていこうとしてる…と捉えることもできますが、状況的には辛すぎますよね。

仕事はやめちゃってるし、明里は実は他の人と結婚する予定だし…。

鬱エンドと言われるのもうなづけます。こんなのいやだ!

現実の人間関係は、どんどんすれ違っていくもの


貴樹は明里の存在を引きずり、他の女性を心から想うことができずにいるが、明里は、貴樹のいない場所、年月の中で、他の男性と結ばれ結婚する。

貴樹と明里は、子どもの頃にあれだけお互いを想っていたのに、結局もう一度再会することはできなかった。

人と人との関係性をつなぐものとして、やっぱり距離と連絡手段って大事ですよね。
どれだけその時、想いが通じ合ったとしても、遠く離れてしまう、ということだけで相当不利。

物語としては、『君の名は。』みたいに、想い合う二人が最後に出会えて、ハッピーエンド……という形の方が無難で、多くの人に受け入れられるかもしれない。
実際に『君の名は。』は、記録的大ヒットを飛ばしましたし。

けれども、現実としては『秒速5センチメートル』の方が、ずっと身近で「よくある」話かなあ、と思いました。

『秒速5センチメートル』は決してハッピーエンドではない。
けれども、その「よくある」部分に人は共感してしまうのではないかと。

遠距離って、なかなかうまくいかない。だからこそ…

あれだけ毎日学校で仲良かった友達でも、就職して距離が離れると、特に何があったわけでもないのに疎遠になっていくことが多いですよね。

というより、何か起こさないと、人と人との関係はどんどん疎遠になってしまう。
そんなつもりは無かったのに、いつの間にかすれ違ってしまう。

だからこそ。

大事にしたいって思った人とは、離れていても、ちゃんと定期的に連絡取ろう!
って思いました。

友人恋人家族にかかわらず、ですね。

人との縁って大事!